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梅雨に咲く花

06.28.2013, bun, by .

「雨が降れば地が固まります。」
黄色い児童用の傘が開いたまま、くるくる回っている。雨はもう降りやんで暫く経つ。
「地面が固くなればどうなるのですか。」
傘が回転するたびに、ついていた水滴が弾かれてはキラキラと散る。あぶないよ、と注意したけども、彼女は口を尖らせるだけだった。
「問題を替えないでください。おにいさんはいつもそうです」
「それは弱ったなあ」
それでもやっぱり危ないよ、と付け加えると今度は素直に回すのを止める。立ち止まって傘から覗いた顔はちょっと不満げだった。
「やっぱりずるいです」
「ごめんごめん。でもありがとう」
傘を畳まないのを不思議に思いながらまた僕たちは歩き始める。僕の腰くらいの高さを、黄色がひょこひょこ動いている。本来は雨にしか咲かない花だ。
「…そうだね。地面がとってもやわらかかったらどうする?」
「…とっても困ります」
「どうして?」
紫陽花が視界に入る。徐々に色を変えているところらしい。鮮やかなグラデーションの花弁に乗った水滴が光に反射している。
「歩けなくなるからです」
「そうだね」
「でも雨ばかりでも困ります」
「晴れが好き?」
揺れる傘が止まって、黄色い花がしぼんだ。
そのまま小さな手が僕の掌を掴む。これはいつもの光景。
「こうやって歩ける方がいいです」
うつむいた頬は、少し赤い。

これは予想外の反応。
「…弱ったなあ」

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梅雨のうちに!
前ブログ文章を適当にたんぶらぶっこんでたら共通点がありまして、
・気温や天気、景色とか自然物が真っ先にくる
・台詞少なめ(これは別所で教えてもらった)
ということで最初に括弧つきの台詞から始めてみたよ!ついでになんだか甘酸っぱくしてみたよ!(※当人比)
しかしどうも説明足らずになりがちだ 何も考えず始めるからだ

そんだけです。ついでに背景描けるようになりたいです。

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